絶対読んでほしい!名作漫画レビュー その14『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』

漫画

筆者の最近のマイブームと言えば”グルメ漫画”です。

前回、紹介した『どんぶり委員長』もそうでしたが、近年グルメ漫画が増えてきています。
古くは美味しんぼやクッキングパパなどがありましたが、これらが王道グルメ漫画だとすれば、近年はやっているのはどちらかというと、特定の分野に突出したものが多い印象です。
例えば、どんぶりだけだったり、パンだけだったり、寿司だけだったり、コンビニ飯だけだったり。。。

今回、筆者が名作漫画としてレビュー、感想を書くのはそんな中でも異色のグルメ漫画『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』です。
さて、この漫画のどこが異色なのか?何の分野に重点を置いたグルメ漫画なのか?
ここはさすが作者おおひなたごう氏の腕の見せ所なのか、今までのグルメ漫画とは一線を画す形の漫画です。
ずばり、『食べ方』をテーマにしています!!

いやー、こういう視点があったとは思わなかった(笑)
特定分野のグルメ漫画は数あれど、食べ方に注目した漫画はあったのか?いや、無い!(キッパリ)
確かに目玉焼きを見ても黄身をいつ潰すのか人によってそれぞれだし・・・。
この漫画はそういった人によって千差万別な食べ方を面白おかしく漫画にしている作品です。
全12巻で完結済み、しかもドラマ化もしていますよ~。あと全4話だけどアニメ化も!(笑)

1.作品情報

作品名:目玉焼きの黄身 いつつぶす?
ジャンル:料理・グルメ、ギャグ漫画
作者:おおひなたごう
出版社:エンターブレイン
掲載誌:コミックビーム
発表期間:2012年10月号 – 2019年5月号
巻数:全12巻
話数:全73話

2.あらすじ

自宅で恋人のみふゆと初めて迎えた朝。二郎はみふゆの作った目玉焼きをいつものように黄身をつぶして醤油を垂らし、白身と絡めて美味しく食べていた。しかし、みふゆを見てみると黄身はつぶさずに白身だけを食べ、最後に残った黄身だけを口に入れていたのだ。二郎の口から出た言葉は「お前…バカか?」。
独り自宅に残された二郎は悩む。自分の食べ方が間違っていたのか? 自分の食べ方は「あたりまえ」ではなかったのか?
悩む二郎は友人や同僚に相談するが、さらに異なった食べ方を教えられ驚愕するのだった。そして、みふゆの食べ方を真似してみた二郎は黄身を潰さずに白身だけを食べることの難しさを知る。

その後も二郎は悩む、悩む、悩みまくる!”食べ方”というくだらないことで!!
たかが食べ方、されど食べ方。
その悩みは恋人だけでなく、同僚や友達にまで迷惑をかけまくることになる―――。

二郎、そんなくだらないことで悩んでいるのはお前だけだぞ!!

◆二郎が食べ方に悩んだ食材リスト

・目玉焼きの黄身
・とんかつのキャベツ
・カレーのルー
・ライス
・みかんの皮
・納豆
・ちらし寿司
・ショートケーキの苺
・つけ麺
・焼き鳥
・卵かけご飯の生卵
・おにぎり
・パンと目玉焼き
・立ち食いそばのかき揚げ
・スパゲッティ
・パンケーキ
・焼き肉の白メシ
・炒飯
・かき氷のシロップ
・握り寿司に醤油
・湯豆腐
・バウムクーヘン
・ハンバーグ
・カップ麺のフタ
・牛丼の紅ショウガ
・サンマのハラワタ
・餃子のタレ
・レンゲでミニラーメン
・JINRO
・調味料
・焼き鳥はタレ派? 塩派?
・ハンバーガー
・ソフトクリーム
・コーヒーの砂糖
・最後の一個
・枝豆の薄皮
・クリームシチュー
・生ビールと缶ビール
・オムライス
・食器の配置
・お箸
・口内調味
・月見そばの生卵
・青森のすじこ
・「一口ちょうだい」アリ? ナシ?
こうしてみると、二郎、マジで悩みすぎ!!(笑)
他人の食べ方も気になり始めると気になっちゃうからねー。

3.登場人物

・田宮丸 二郎(たみやまる じろう)

本作の主人公。みふゆからはジロちゃんと呼ばれる。
ゆるきゃら「どくフラワー」のスーツアクターをしている。
自分の食べ方こそ正しいと、違う食べ方をしている他人を否定することが多いが、のちに反省して自身の理解できなかったことを試してみたりするなど、受け入れることも出来る。
恋人、友人問わず変わった食べ方をする者を否定して喧嘩することも多く、一歩間違えればサイコパスと思われても仕方ない行動をすることも・・・。

恋人であるみふゆとは紆余曲折あったものの最終的には結婚にたどり着く。
目玉焼きで始まり目玉焼きで終わる食べ方であった。
・長嶋 みふゆ(なかしま みふゆ)

二郎の恋人。作中では触れられていないが初期と後期で髪型が微妙に違う。(後期のほうが全体的にちょっと短め?)
女性若手漫才コンビ「魑魅魍魎」の魍魎として活動するボケ担当。のちに解散してピン芸人になる。
目玉焼きの黄身を最後に食べたり、ポッキーのチョコを剥しなめするなど、周囲を探せばたまにいるような食べ方をすることが多い。

・近藤 雄三(こんどう ゆうぞう)

二郎の仕事先「フラワー企画」のイベントチームリーダー。風貌は細目の身体つきで大きめの黒い眼鏡を掛けたアフロでその姿は昭和のドラマに出てきそうな格好である。
食べ方に悩む二郎に、まったく異なる第3の食べ方を出したりする二郎の良き理解者。

4.感想、評価、レビュー

食べ方に注目した既存のグルメ漫画とは一線を画すテーマ。
それに主人公である二郎と恋人であるみふゆの結婚までの一本軸のストーリーを絡めたのは見事と言わざるを得ない。
たかが、食べ方で喧嘩をしたり、理解を深めたり、そういった経緯を含めて最終的に結婚に結びつくまでのストーリーはよくまとまっていました。
作中に出てくる食べ方はどれも『あるある』なものばかり(笑)
考えてみたら私も変わった食べ方をしているのではないかと考えさせてくれます。
私の場合は、みふゆさんに似た食べ方かもしれない……(汗)

ちなみに私の目玉焼きの食べ方は『黄身を最後までの残す食べ方』です。
最初に周りの白身部分だけを食べて、最後に黄身を一口で食す!!
こうやって食べるとお皿が黄身で汚れたりしないのですよ(笑)
……しかしこの漫画を読んで、初めてそれが変わった食べ方なのだと知った。。。
そういうことに気が付かせてくれるという意味でもこの作品は良作なのかもしれません。
更に、ギャグマンガなのでギャグが面白い!
ツッコミ役の近藤さんが良い味だしてます。

「たかが食べ方で、こんなにも悩むなんて人間とは面倒くさい生き物ですよね?」
と悩む二郎に近藤さんは、
「いや、一番面倒くさいにはお前だよ、二郎」

と言い放ちます。
その通りです、近藤さん!!!
しかし、たかが食べ方にこんなに悩むとは実にくだらない!本当にくだらない!!いい意味で(笑)

私は絶対、二郎みたいなやつとは食事できません!!!

基本は、二郎が食べ方で誰かと喧嘩して、近藤さんに相談して、最後にその食べ方を認めるといった流れが毎回のパターンですが、このパターンも全然飽きが来ませんでした。
やはり理由としてパターンそのものは同じでも、読者自身にも『食事には様々な食べ方がある』ということを気づかせてくれるからかもしれません。
私もこの漫画を読んでこういう食べ方をする人がいるんだなーと終始楽しんで読むことができました!

おおひなたごう氏の描くイラストも万人受けしそうで、下品な要素もありません。
そのため、誰にでもおすすめできるグルメ漫画の一つではないかと思います!

みなさんもこの漫画を読んで、目玉焼きの食べ方にこだわりましょう!(笑)

しかし、この漫画を読んで私は―――
人と食事するのが怖くなったぞー!!!(笑)

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